Action 私達の国際NGOとしての活動をご紹介します。
2009.11.22 | イベント活動
第28回世界連邦日本大会開催 [金沢]
全国より600名の同志が参加、グローバル福祉社会の道を考えるをテーマに
第28回世界連邦日本大会(金沢2009)が11月22日、 金沢市文化ホール(大ホール)で開催された。主催は世界連邦推進日本協議会。後援は外務省、石川県、金沢市、北國新聞社、NHK金沢放送局。テーマは「世界連邦の実現に向けて~グローバル福祉社会の道を考える~」。
正午の受付開始から間もなく、世界連邦運動を紹介するDVDが16分間上映された。12時半より第38回世界連邦推進全国小中学生ポスター作文コンクールの石川県内優秀作品の表彰が行われ、杉山栄太郎世界連邦運動協会石川県連合会会長から賞状と記念品が授与された。

続いて開会行事にうつり、杉山栄太郎大会実行委員長が開会の言葉を述べたあと、宗教委員会代表の稲垣裕彦氏により、故植木光教運動協会会長をはじめ、世界連邦運動のために力を尽くした故人、ならびに世界で紛争や災害、飢餓などで命を落とした人々のために黙祷が捧げられた。

また、四方八洲男日本大会会長(世界連邦推進日本協議会会長代理)が、EU大統領の誕生、東アジア共同体構想などの事例を紹介するとともに、我々は世界連邦という高い理想を掲げながら地元に密着して運動を広げていくべきであると挨拶した。さらに、石川県知事谷本正憲氏の代理として杉本勇寿副知事、ならびに金沢市長山出保氏の挨拶のあと、来賓の方々が紹介された。

当日の来賓は、参議院より岡田直樹氏、衆議院より奥田建氏、近藤和也氏、田中美絵子氏が本人出席したほか、代理出席も含めると森喜朗元総理をはじめ石川県選出国会議員が全員そろい、また石川県議会議長の代理として中村勲副議長、高村佳伸金沢市議会議長も出席した。最後に祝電が披露され、開会行事を終えた。午後1時30分から記念演奏として石川県音楽文化協会の皆様による「もののけ姫」など3曲が演奏された。

午後2時から横浜市立大学国際総合科学部准教授上村雄彦氏により、「持続可能なグローバル福祉社会をつくるには~国際連帯税の可能性を中心に~」というテーマで講演があった。(詳細は2ページ参照) 休憩をはさんで午後3時10分から「世界連邦の実現に向けて~グローバル福祉社会の道を考える~」というテーマでパネルディスカッションが行われた。平口哲夫石川県連合会理事長(金沢医科大学教授)をコーディネーターとし、基調講演者の上村雄彦氏(前述)とパネリストの田中優氏(未来バンク事業組合理事長・社団法人天然住宅共同代表)、勝見貴弘氏(世界連邦運動協会執行理事・参議院議員秘書)、土井香苗氏(NGOヒューマン・ライツ・ウォッチ東京ディレクター、弁護士)がそれぞれの専門分野から発言した(詳細は4ページ参照)。午後4時30分から閉会行事に移り、荻野忠則宣言起草委員長が朗読した宣言案文が拍手で採択された。最後に宇都宮憲爾日本大会副会長(世界連邦運動協会会長代行)が閉会の言葉を述べた。

午後5時過ぎから大会会場向かいの金沢ニューグランドホテルに場所を移し、関戸正彦大会事務局次長(石川県連合会事務局長補佐)の司会で懇親パーティが行われた。和やかな時を過ごした後、宮西實大会副実行委員長(石川県連合会副会長)の閉会の言葉で全ての日程を終了した。

「持続可能なグローバル福祉社会をつくるには~国際連帯税の可能性を中心に~」 
講師:上村雄彦 横浜市立大学国際総合科学部准教授 基調講演
(金沢文化ホール・大ホールにて)

本日は、環境破壊もなく、貧困や極度な格差もなく、戦争もない安心して暮らせる世界をどうしたら作ることができるのかというテーマを一緒に考えたいと思います。

私たちが生まれ、生きて、そして死んでいく地球社会。

そこには多くの深刻な問題があります。例えば地球環境破壊の問題。一秒間にテニスコート20面分の森林が破壊されています。貧困問題、飢餓の問題では、途上国では3秒に一人、飢餓・栄養失調が原因で子供が死んでいます。その数は一年で1000万人以上です。

一方で、たった1%の豊かな人が世界全体の富の40%を所有している。これが地球社会の現状です。

どうしてこんなことが起こっているのか。色々な原因がありますが、少なくても三つは指摘したいと思います。それは①資金の不足、②国際経済の変容、③グローバル・ガヴァナンスの欠如 です。

1.資金の不足について
  温暖化対策には15兆円、MDGs(ミレニアム開発目標)達成には年5兆円、食糧を援助するには年1兆5000億円から2兆5000億円かかります。その一方で、ODA(政府開発援助)は停滞していて資金調達の見込みはありません。

2.国際経済の変容について
  世界には2つの経済があります。1つは実際にモノやサービスを売ったり買ったりするもので、これを実体経済と言います。それに対し、ただお金を右から左へと動かしてその利ざやで短期的利益をあげるバーチャル経済・ギャンブル経済があります。

現在、世界の実体経済が3600兆円(2003年)であるのに対して、ギャンブル経済の規模は1京3000兆円、実体経済の3.6倍にも達しています。何も生み出さず、巨額の金を右から左に動かして短期的利潤を求めるマネーゲームがここまで拡大しています。

3.グローバル・ガヴァナンスの欠如
例えば、外国為替市場でのマネーの動きは、1973年4兆ドルだったのが、80年代に40兆ドル、2007年には770兆ドルにも達しています。

このような国際金融資本の動きに、国や企業は逆らえません。逆らえば、国債や株が売り浴びせられ暴落するからです。(94年メキシコペソ危機、97年アジア通貨危機、タイでは一週間で百万人が失業、インドネシアでは三ヶ月で2100万人が突然貧困生活を強いられました。)

途上国の人はお金がないから食費が高騰すると窮してしまいます。ハイチでは暴動が起こり、首相は辞任しましたが事態は変わらず、人々は泥を食べて命をつないでいます。世界では33か国がこういう状態です。これがギャンブル経済が実体経済に与える現実の事態なのです。

でも、大もうけしている人たちは税金を納めて社会に貢献しているじゃないか、と思うかも知れませんが、そうではありません。世界貿易の50%金融取引の50%がタックス・ヘイブン(税がかからない地域)を通じて行われています。
 
このため、お金は豊かな先進国から貧しい途上国にではなく、逆に途上国から先進国へ年間50兆円ものお金が流れています。そのうちアフリカからの資本避難が年間14兆8000億円です。

多くの多国籍企業が途上国で創業し、驚愕の利益を上げていますが、利益はほとんどタックス・ヘイブンに移され、途上国には税収が入ってきません。こうしたタックス・ヘイブンなどのオフショア経済に隠されている資金は、実に総額で1150兆円です。これに通常の税をかければ25兆5500億円の税収が見込めます。

ミレニアム開発目標に必要なのは年間5兆円ですが、このお金がないために、目標は達成されそうにありません。しかし、お金はあるところにはある。こんな状態を放置して援助を繰り返しても、穴の開いたバケツに水を入れているようなものです。そこにはお金の透明性もなく、どれだけ途上国にお金が入ってどれだけ出て行くのかも正確にはわからない。今こそ「漏れを防ぐ」ことが必要です。

それでは、どうしたらよいでしょうか。ここで解決策の一つとして提案したいのがグローバル・タックス、ないし国際連帯税です。

なぜ税なのか。皆さんの中に税が好きな人はいますか?税は敬遠されがちですが、その税が公正に徴収されて、その使途が明確で、きちんと問題を解決する目的で使われれば大きな役割を果たします。

税によって必要な財源を生み出すことができます。そして税にはgoods(グッズ)減税bads(バッズ)課税という重要な機能があります。ここは今日の話のポイントです。

グッズ、つまり環境や社会などに良いものには減税、免税、補助金を進め、逆に悪いものには重く課税することによって、環境や社会によい社会を作れるのです。

ドイツや北欧では、この「グッズ減税・バッズ課税」によって環境の負荷を下げ、税収を社会保障の財源や企業の社会保険料の軽減に使うことで、雇用も促進され失業が減っています。まさに一石四鳥です。日本はこういう成功例を学ばないといけません。

これをグローバルに行うのが、グローバル・タックスないし国際連帯税です。グローバルな活動に課税して、グローバルな活動の負の影響を抑制し、税収をグローバルな公共財の供給に使う税のことをいいます。

でも、そんなことは本当にできるのか? 実は、もうすでに始まっています。その最初の例が航空券連帯税です。飛行機に乗ることができる豊かな人に課税をし、貧しい人々に再分配し、とりわけ税収をエイズ・マラリア・結核で苦しんでいる貧しい人々の対策にあてています。

2006年にパリで会議がありました。当時のシラク大統領は「グローバリゼーションにより多様性は失われ、環境は破壊され、格差は広がった。今こそ私たちが連帯をして、手をつなぎあって、人間の顔をしたグローバリゼーションに変えたい」と演説しました。そしてフランス政府は航空券連帯税を提案しました。

現在航空券連帯税に賛同する国が28ヵ国、現実に導入している国が13ヵ国です。また、このようなグローバル・タックスを議論・検討するための「革新的開発資金に関するリーディング・グループ」が創設されましたが、現在59ヵ国が参加しています。
航空券連帯税の税収は2006年9月19日に設立されたユニットエイド(UNITAID)によって管理・運用されています。

連帯税という安定した資金で医薬品を大量かつ長期的に購入することにより、エイズの薬品を25~50%、マラリアの薬品を29%、結核の薬を20~30%下げることができ、多くの貧しい人々が治療を受けられるようになりました。

今日は世界連邦運動の皆様がお聴きになっておられますから、ガヴァナンスの話をしましょう。従来の国際機関は政府代表から構成されています。他方、ユニットエイドの理事は、資金供給国から5名、アフリカとアジアから1名、市民社会から2名、WHOから1名、財団から1名出しています。国の代表だけでなく、NGO・市民社会もプロセスに加わり、透明性・アカウンタビリティ(説明責任)を確保しています。
市民社会代表理事に直接インタヴューしましたが、彼らの意見は十分尊重され、決定にも影響を及ぼしているという答えが返ってきました。議事録も全て公開されており、透明性の確保に尽力していることがわかります。これが新たなガヴァナンス、つまりより透明で民主的で情報開示も行われたガヴァナンスです。
現在、地球炭素税、天然資源税、武器取引税など、いろいろな構想が議論されています。航空券連帯税の創設に伴ってユニットエイドのような超国家機関ができたように、これらの税が実現すれば、それぞれに新たな国際機関ができると思われます。

例えば、通貨取引税が実現すれば通貨取引税機関ができますが、同時にそれを監視し、使途等を議論する民主議会もあわせて設けるという構想があります。
そこには政府代表だけでなく、各国の国会議員やNGO代表など様々なステークホルダーが参加し、幅広い声を拾い、一国一票主義でなく、人口比例の要素も加味します。人口大国は三票、小国は一票、間の国は二票という具合に、加重投票にする。これらの工夫でより民主的なガヴァナンスを行うという構想です。

グローバル・タックスが実現する度に、それぞれに理事会と民主議会を設ける。これらが実現されていくと、バラバラに管理・運用していた税を、一元的に管理・運用するグローバル租税機関が実現され、それを監視し、使途を議論するグローバル民主議会がつくられる可能性があるのです。

ここに、グローバル・タックスを通じて、世界連邦を実現する道程が見えてくるのではないでしょうか?財源はグローバル・タックスによって確保され、より透明で、民主的で、アカウンタブルなグローバル・ガヴァナンスが実現する可能性が航空券連帯税の開始によって開かれました。

本当にそんなことが可能なのか。今、その方向に向けて大きな流れが出てきています。先ほど紹介したリーディング・グループ。これがかなり進展しています。すでに6回会合を開き、その中で出された提案を現実化するためにタスクフォース(作業部会)が創設されました。2007年9月にはタックス・ヘイブンと資本逃避に関するタスクフォースができ、2009年10月には、通貨取引税も含めて議論を行う開発のための国際金融取引に関するタスクフォースができました。

ドイツのシュタインマイヤー前外相は、「金融危機対策の財源確保と投機の抑制を目的として、国際金融取引への課税を提案する。金融危機のコストは中小の納税者によってのみ負担されるべきではない。責任の公平な分担がなされなければならない。課税の対象は通貨のみでなく、株式やデリバティブなど全ての金融取引とする。」と発言していますし、同じくドイツの財務大臣は「国際金融取引税を勧める理由は明らかであり、この税は公正であり、害がなく、多くの利益をもたらす。もしこの案より適正で公正な負担共有の方法があるのならば聞かせてもらいたい。もしないのならばただちに導入しようではないか。」と発言しています。

金融立国のイギリスにおいても、金融サービス庁長官が「シティにおける金融業界は肥大化しているばかりではなく社会的に無益である。過度の防衛行為を防止するために、シティに対する課税を支持する。私は金融取引に対する課税、トービン税(通貨取引税)を喜んで支持する。」と言明し、ブラウン首相も国際金融取引税の導入を提唱しました。

ブラウン首相の提案は、金融危機の再発に備えた財源を金融業界の課税強化でまかなうことで、公的資金より銀行救済を行うことへの世論の反発をかわすことを狙っているとも言われていますが、ともあれ彼はG20で金融機関の責任を示す必要があると指摘しています。このように、ヨーロッパは動きはじめていますが、アメリカは慎重な姿勢を崩していません。

日本はどうなのでしょうか。以前は無関心というか消極的で、リーディング・グループにもオブザーバーとして参加しているだけでした。
 しかし、2008年2月、超党派で国際連帯税の議員連盟ができました。谷垣禎一議員や、自民党税調会長であった津島雄二議員(当時)など、有力な方が入っています。福田総理の福田ビジョンの中では地球環境税導入を検討することが記され、そのために環境省を所管官庁とする地球環境税等研究会も創設されました。そしてついに日本政府は、08年9月にリーディング・グループに正式参加することになったのです。

08年11月には東京で国際連帯税に関するシンポジウムが開催され、様々な専門家やNGO関係者が議論しました。その結果、本年4月に国際連帯税を推進する市民の会(アシスト)ができました。

このような流れを受けて、研究者、国会議員、NGO、さらにオブザーバーとして、外務省、財務省、環境省、世界銀行など様々なステークホルダーから構成される国際連帯税推進協議会(座長:寺島実郎氏。通称、寺島委員会)が創設されました。

その目的は国際連帯税、とりわけ通貨取引開発税の実現の道を探ることです。克服すべき技術的課題、税収の具体的使途、ガヴァナンスを検討し、そして日本発国際連帯税の立法化を目指しています。

現在、通貨取引開発税をやるにあたってどういう技術的問題があるのかということを検討するための専門家ヒアリングを行っています。

政権交代後、峰崎直樹副大臣・同議員連盟副会長は国際連帯税に関して、様々なアイデアについて今後議論を深めていくことが重要であるとIMF、世銀との会合で発言し、開発のための国際金融取引に関するタスクフォースには西村智奈美外務大臣政務官が参加し、加入を決定しました。通過取引税型の国際連帯税が実現するかどうか。実は日本が鍵を握っているのです。詳しくは拙著『グローバル・タックスの可能性持続可能な福祉社会のガヴァナンスをめざして』(ミネルヴァ書房)をご覧いただければ幸いです。ご清聴ありがとうございました。


上村雄彦 氏 (うえむら・たけひこ)
国際連帯税推進協議会委員、横浜市立大学国際総合科学部准教授。1965年大阪生まれ。大阪大学大学院法学研究科修士課程、カールトン大学大学院国際関係研究科修士課程修了。博士(学術、千葉大学)。カナダ国際教育局カナダ・日本関係担当官、国連食糧農業機関(FAO)住民参加・環境担当官、千葉大学地球福祉研究センター准教授等を経て現職。著書に、『グローバル・タックスの可能性―持続可能な福祉社会のガヴァナンスをめざして』(ミネルヴァ書房)、『世界の貧困問題をいかに解決できるか』(現代図書)、『グローバル化の行方』(新世社)、『国際関係論を超えて』(山川出版社)、『新世紀における永続可能な発展の新しい挑戦』(CIER出版、英文)、『世界から貧しさをなくす30の方法』(合同出版)、『おカネで世界を変える30の方法』(合同出版)、などがある。

パネルディスカッション 
「世界連邦の実現に向けて ~グローバル福祉社会の道を考える~」



 コーディネーター:平口哲夫氏(世界連邦運動協会石川県連合会理事長、金沢医科大学教授)

今回のパネリストは、僭越ながら、世界連邦運動を次の世代に引き継ぐために、私の世代より若く、国内外で活躍されている方々にお願いいたしました。それでは早速、ご専門のお話を田中優さんからお願いいたします。


田中優氏(未来バンク事業組合理事長・社団法人天然住宅共同代表)

今のグローバル・タックスの話にちなみ、お金の話、その前に石油の話をしたいと思います。世界の巨大油田は1980年以前に発見され、それ以降は小さなものしか見つかっていません。石油の消費量はどんどん右肩上がりで増えています。油田から取れる石油の総量は、IEAの資料によれば、2008年1月にピークを迎え、生産量は減少を始めています。これをピークオイルと呼びます。その時期に石油が急激に値上がりしました。その後にリーマンショック、サブプライム問題、世界同時不況に突入しました。その引き金はピークオイルではなかったかと取りざたされています。しかも石油で儲かるのは最上流の油田です。イラクをはじめ、現在の世界の紛争地は、「石油、天然ガス、パイプライン、鉱物資源、水」といった資源がある土地に集中しています。民族や宗教問題によるものではありません。

去年暮れから今年はじめにかけてのガザに対する
イスラエルの攻撃も、2000年にガザ沖に発見された海洋ガス田と関係していると思います。ハマス政権に毎年43億ドルが入るのを、阻止しようとしたのです。

しかし100年後のエネルギーは、自然エネルギーしか残りません。だから早く切り替えるべきです。

核兵器を廃絶し、全ての軍備をやめれば、環境破壊や地球温暖化などの問題を一年で解決し、なおかつお釣りがくるという試算があります。それなのに私たちは自らを滅ぼすためのお金を使っています。これはばかげたこと、自殺の惑星です。

地球温暖化から見ても、全世界の軍事が排出する二酸化炭素排出量が莫大です。環境の運動だけでは地球温暖化は防げません。平和運動を一緒に進めていかないと。だから世界連邦運動がやっていることは、環境の面からも、とても重要なのです。この運動を成功することができなかったら、私たちはやっぱり地球温暖化で滅んでしまう。

そこに使われているのが私たちの貯金です。私たちの郵便貯金や銀行預金、政府が発行する国債からアメリカ政府の国債が買われ、イラク戦争の資金になりました。日本からのカネは9・11以後急激に伸び、イラク戦争勃発後さらに伸び、私たちの貯金がこの戦争を支えてしまった構造になっています。私はこうしたおカネの流れを問題だと考えてきたので、15年前に未来バンクを設立しました。

3%固定金利、しかも単利で環境・福祉・市民事業にだけ融資する。こうしたNPOバンクが、いまや全国各地にできつつある。その中で有名なのが、ap bankです。Mr.Childrenの桜井和寿さん、音楽プロデューサーの小林武史さん、音楽家の坂本龍一さんのみの出資で、環境に関する事業のみ投資しています。私は監事をしています。

おカネの流れが変わり始まりました。去年、世界連邦日本大会で講演したときに、クラスター爆弾の製造には日本の銀行からの融資がされているという話をしました。今年9月、日経新聞は、東京三菱UFJ銀行がクラスター爆弾製造業者へ融資することをやめる方向に動き出したと報じました。預金者が声をあげ、世界連邦運動や他のNGO、市民社会がクラスター爆弾禁止を呼びかけたことがこうした資金の流れを絶つことが出来たのです。

おカネの流れは二つの流れが必要です。一つはグローバル・タックスのような国際的なおカネの流れ方をつくること。もう一つはローカルな地域の中に回っていくおカネに変えていくことです。地域におカネが戻ってくる仕組みをつくることで私たちの役に立つおカネに切り替えていきましょう。

この二つのおカネの流れが切り替わったなら、私たちはもっと豊かな暮らしが出来るでしょう。そのためにおカネを新たな構想によって切り替えていく運動。それが今後、必要になっていくと思います。是非、みなさんと一緒に展開していきたいと思います。

 
勝見貴弘 氏(世界連邦運動協会執行理事,参議院議員秘書)

日本から人間の安全保障を~グローバル・ガヴァナンス確立への道筋~。この一つの側面はグローバル・タックスと上村さんはご指摘になりました。現在の経済システムのバケツの穴を塞ぐ。これはとても壮大なことだが、実は日本のお家芸でもあります。

それは日本国憲法。憲法に書かれているのは非常に壮大なこと、国家の交戦権の否定、戦力を保持しないということが実現できるのか、これを今まで日本はどう実現してきたのか。このことについてグローバル・ガヴァナンスを安全保障の観点から語りたい。

日本は平和憲法を有するが、自衛隊は警察予備隊を前身とし、1952年に保安庁が創設され、54年に自衛隊法が施行。これが防衛庁に改組され、92年には国際平和協力法という国連に協力する枠組みが出来ました。2004年には復興支援目的で自衛隊がイラクに派遣されました。防衛省に改組された2007年には、中央即応集団という対テロ特殊部隊が自衛隊の中に創設されたのです。

同年、国民投票法が提出され、憲法改定の枠組みができあがりました。2008年、インド洋における給油支援を継続するため、補給支援特措法(新テロ特措法)が成立。2009年アフリカ、ソマリア沖の海賊取締りのため、日本は自衛隊を派遣。同年内に海賊対処法が成立しました。

日本は憲法九条を持ちながら、こうした軍事的協力をどんどん加速してきています。

私は以前から憲法九条改正問題に関心を持ち続けてきました。NHKの2007年の調査では憲法改正に賛成の47%は賛成。20%は改正の必要がないと回答。それが過去2年のうちに憲法改正派が多くなりました。これはなぜおきたか。これは北朝鮮の核など脅威があって、これに対応するために国民が、憲法を変えないといけないのではないか、憲法を変えないと国際貢献できないのではないかと考えてきたから。          
 市民側でこうした動きを止めるために2008年5月に九条世界会議が行われました。そこでは憲法九条は日本だけのものでなく、人類の共有財産として大切にすべきだという趣旨の宣言が出されました。こうした壮大なビジョンを出していても、国がこれを政策として採用しない限り、物事は動きません。国を動かすための力を与えられているのが国会議員です。これは国民の信託を受けているわけです。国会の人間の仕事は壮大なビジョンがある一方で、実効的な方向性を出していく。

日本政府は外交の基本方針として「人間の安全保障」の推進を掲げています。これは、安全保障の課題として人間の生存、生活、尊厳を脅かすあらゆる種類の脅威を包括的に捉え、これらに対する取り組みを強化しようとする概念で、日本から出された概念です。人間の安全保障基金が創設され、国連で行われている数々の活動に出資を行ってきました。

この「人間の安全保障」の概念と並行して発達した新たな概念に「保護する責任」があります。これは、自国民の保護という国家の基本的な義務を果たす能力のない、あるいは果たす意志のない国家に対し、国際社会全体が当該国家の保護を受けるはずの人々について「保護する責任」を負うという概念です。この概念も、国連の成果文書として認められ、国際社会において一定の市民権を得ています。

「保護する責任」は三つの責任から成り立っており、1)予防する責任、2)対応する責任、3)再建する責任からなります。予防する責任は保護しなければいけない状態を引き起こさないということで、これに相当するのが国際刑事裁判所(ICC)です。対応する責任について私たちは国連に国連緊急平和部隊(UNEPS)の創設を提案していますが、まだ実現していません。これは人道的危機に対応する常設の国連部隊をつくって対応するものです。再建する責任について、例えば地方復興支援という考え方があり、アフガニスタンで行われているような軍民連携でNATOと民間専門家が協働して復興支援を行うというチーム編成があります。


土井 香苗氏(国際NGOヒューマン・ライツ・ウオッチ東京ディレクター、弁護士)

世界では、人権=「人間の最低限の尊厳」さえも踏みにじられる行為が続いています。拷問、拉致・強制失踪、紛争下での民間人の大量殺害、恣意的逮捕や強制収容、追放と難民化などです。近隣アジアでも、北朝鮮、ビルマ、スリランカ、中国のチベットやウイグル、アフガニスタンなどで、大規模な人権侵害が続いています。スリランカでは人の集まる食糧配給所や病院への砲撃がありました。これらは国際人道法違反です。政府軍、反政府軍ともICCの対象犯罪の中で最も深刻な戦争犯罪を犯しました。また中東のガザでは国際法違反の方法で白リン弾が用いられました。国連の倉庫が爆撃され、三億円相当の医薬品が失われました。こうした人びとの苦しみを前に、これまでの日本外交は、基本的に沈黙し続けてきました。厳しい言い方ですが、権力側につき、被害者の苦しみは傍観してきたのが実態です。日本は、アジア諸国を中心に、世界各国に多額の資金援助=ODAを出しており、大きな外交的な影響力を持っています。この「影響力」を、日本政府は、被害者たちのために使う準備はできているでしょうか。日本はICCに加入したが、加入して終わりということでなく、今後は最も重い戦争犯罪を犯した者が裁かれもせずゆうゆうと闊歩することがないよう、ICCを人権を守るためにどう使うかということを考えていくべきです。

上村)「国際連帯税はいい考えだと思うが、地方自治体の果せる役割はあるのか」との質問にお答えします。国家が話し合って決めると思われがちだが、一般市民、そして地方自治体も含めて世論の後押しがないと実現しません。国際連帯税に関して言えば、まずは知ること、そしてそれを推進する政治家を選ぶということが大事です。

今、足りないのは理想を持つこと。イチローのように実現できるイメージを具体的に強く持つことが大事。そうすればやるべきことが見えてくる。私たちはそれを今、グローバルなレベルでやるべきだと考えます。

田中)グッズ減税、バッズ課税は徹底した方がよい。そして今こそビジョンが必要です。世界連邦運動はずっとそれを持ち続けてきました。それを積極的に表に出していく時期だと思います。

勝見)官僚主導から政治主導になるよう、政治家も研鑽を積まないといけないし、市民側も、市民社会と政治のシナジーを高めていくことが重要です。

土井)外務省は相手国の人権問題に顔を突っ込まない方が波風を立てないで済む。しかし友愛を唱えるなら、各国の人々の人権を守る貢献をすることを期待したい。

平口)パネリストのみなさんから様々なコメントをいただきました。世界連邦という理想に向かって、お集まりのみなさまとともに取り組んで参りたいと存じます。今後ともどうかご尽力、ご協力を賜りたいと存じます。本日は皆様ありがとうございました

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